辻 秀易 / Hideyasu Tsuji

Interview


建築家になろうとしたきっかけと、建築家としての軌跡を教えて下さい。

建築というものを初めて意識したのは、小学校一年生の頃、実家を建てた時ですね。もちろん、その時は、家を建てる様子をただ見ていただけですが。父が金属加工の仕事をしていたこともあり、小さい頃からものづくりに親しみを感じていました。何かものを作り上げる仕事に携わりたいとずっと思っていました。

大学で建築学科に進んでから、建築の文化的な側面にも興味を持つようになりました。施工ではなく設計の方に進むことを最終的に決めたのは、大学4年生になってからです。小さい頃から絵を描くことが好きでしたし、設計の方が向いているだろうと思いました。

大学卒業後、岐阜の設計事務所のオープンデスクに滑り込みました。最初の事務所には、5年程いましたが、住宅建築から公共建築まで幅広く取り組むことができました。CGも沢山作りました。その後、別の事務所に移り、住宅だけでなく、医療施設なども多く手掛けました。2年ぐらいその事務所で働いた後、29歳の時に、独立してツジデザイン一級建築士事務所を立ち上げました。二つの事務所を経験したことで、個人だけでなく企業のお客様とのやり取りも経験することができましたし、ビジネスの仕組みも学ぶことができたと思います。

建築家として、辻さんが心がけていることは何ですか?

意匠的な側面と技術的な側面のバランスを取ることです。建築家は、まずは技術者でなくてはならないと思います。私は、基本的な木造の場合は構造計算も自分でやりますし、断熱、換気などの機能的な面に関しても徹底して検討しています。

意匠に関しては、今まで働いてきた事務所で得てきたものもありますが、独立してから他の設計事務所のオープンハウスに足を運んだり、本や雑誌を読んだりして身につけてきたことが大きいと思います。

設計するにあたって、辻さんが大切にしているものは何ですか?

日本の風土に合った建物を建てることです。決して和風という意味ではありません。夏の暑さや湿気に対処できること、自然に風が通ること、等、家は暮らしの原点である以上、配慮しなければならないポイントがあります。屋根や庇を特に意識しています。

後は、プロポーションも重要だと思います。全体とのバランスですね。これについては、模型を何度も作り直してシミュレーションを徹底的に行っています。CGのような二次元では空間のバランスが分かりづらいと思いますので、模型を使った検討を重視しています。

辻さんに設計をご相談する場合、どのように進んでいくのですか?

初回の面談でご要望をお聞きして、敷地を見に行った後、簡単なスケッチを行います。その上で図面を作成し、並行して模型を作成します。その後は、模型を見ながらお客様と打合せを繰り返します。予算のすり合わせなども進めて、十分にご納得頂いてから、契約をします。平均すると、お客様と初めてお会いしてから、建物の完成まで1年2ヶ月ぐらいかかっていると思います。

これから住宅を建てたいと考えている方へメッセージをお願いします。

まずは、自分にどんな選択肢があるのかをしっかり認識して頂きたいと思います。自由設計だけでなく、ハウスメーカーもあれば、建売もあります。自由設計を選ぶとしても、建築家は星の数程います。海外の建築家に依頼するという選択肢もあるのです。これしかダメだということはないと思います。ただ、いくらでも選択肢があるにも関わらず、これしかないと思い込んで見切り発射をしてしまうのは非常に残念ですね。ありとあらゆる選択肢を自由に選べるということは本当に豊かなことだと思います。

後、よく勘違いをされやすい所ですが、自由設計だからといってハウスメーカーと比べて高いということはありません

建築家を選ぶ時は、まずはHPを見て、気になった設計士を見つけたら、気軽に問い合わせをしてみることが重要です。電話やメールをするということにハードルの高さを感じられるかもしれませんが、建築家も会ってみれば一人の人間ですので、一歩踏み出して頂ければと思います。オープンハウスを見にいくのも良いと思います。当然ですが、冷やかしでも全く問題ありません。

監理者として、大切にしているものは何ですか?

現場での変更を恐れないことですね。実際に施工をし始めてみて、やはりこの方が良いということはありますので、その場合はお客様と相談して変更することもあります。

何か熱中している趣味等はありますか。

写真撮影が好きです。風景や建物を撮っています。後は、プラモデルを作ることも好きですね。

今までの作品のうち、印象的な作品を一つ紹介して頂けますか。

軒下のいえを紹介します。木造のコンパクトな平屋で、中庭があります。外観としては、屋根と池田山の稜線のシルエットが美しく見えるデザインを心掛けました。アプローチにも力を入れています。住宅地ですので、隣の家が見えないように屋根の高さを設定しました。木製建具やキッチンの設計も手掛けました。

Career

1975 岐阜県生まれ born,Gifu
日本文理大学工学部建築学科 卒業 Graduated from Nihon Bunri University,Architecture
岐阜市内の設計事務所に勤務 Worked for architect office in Gifu
2006 ツジデザイン一級建築士事務所 設立 Tsuji design

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